「アポロ、月面着陸の嘘」のウソ

当サイトの「アポロ捏造にキューブリックも関与?にツッコむ」でご紹介したvelvetmorning氏のブログのエントリ。

アポロ11号月着陸捏造映像のメイキングビデオ


そこでリンクされている「千早さんのところ」とやらを当方も拝見した。それがこちら↓。

同時多発テロはヤラセだよ! アポロ、月面着陸の嘘

ここで挙げられている“捏造の証拠”とやらの数々が、これまたいかがわしいケッ作揃いだ。

本当はこんなものを相手にするのもバカバカしいのだが、誰も何も言わなければ、これらを真実と思い込んでしまう人もいるだろう。よって、ツッコミページを作らせて頂くことにした。

●ウソンコ映像オンパレード


撮影の合間にくつろぐ(?)出演者たち。(^O^;

‥‥とコメントがつけられている動画。「Secret NASA - Real Footage」http://www.youtube.com/watch?v=_ecBbSIdBKI
このコメントは下の映像についてのものであろう。

荒くて分かりづらいが、この映像では着陸船の下に、大きな漬物石大の石ころがゴロゴロしている。



Secret NASA - Real Footageより


参考までにアポロ11号〜17号の、各着陸船付近の写真。上のような漬物石ゴロゴロの風景がこの中にあるだろうか?

Apollo image atlasより

見比べれば、上のフィルム映像に写し出された場所が、この中のどれでもないことは明白だろう。着陸船の作り込み具合からして、十中八九訓練風景であろうが、いずれにせよ実際の月面映像とは全く無関係のシロモノだ。

このような、月面を再現したセットでの、訓練風景の記録フィルムは数多く残っている。しかし、まさか彼らも、数十年後にそれが「捏造の証拠」にされるとは夢にも思わなかったろう。




Secret NASA - Real Footageより

この「照明ガッシャーン」は、当サイトサポートブログのこちらの記事でツッコミ済み。何も知らない人には、いかにも紛らわしく見えるように入れられている。

                 オリジナル               ニセモノ

映像全体は、気味が悪いほどアポロ11号オリジナルに似せているが、肝心の宇宙服がまるでダメ。本物の方のバックパックは頭のてっぺんに来るくらいの高さなのに、ニセモノの方はご覧の通り。

どうせダンボール箱に布をかぶせた程度の小道具だろうが、大きさまで気が回らなかったのだろう。


                 オリジナル               ニセモノ

また、オリジナルでは斜めの地平線(月平線?)に対して、ちゃんと飛行士がまっすぐ立っているが。

ニセモノの方は全員が画面(カメラ)に対して垂直に立っている。ニセモノの方こそ、書き割り背景なのがバレバレだ。



Secret NASA - Real Footageより              WB映画「カプリコン1」より

これは映画「カプリコン1」の1シーンから。ご丁寧にモノクロにし、わざとボケさせているようだ。何の注釈も入れずにこんなものをさりげなく差し込む辺り、悪質な確信犯であろう。


●謎のコーラ瓶?


西オーストラリアで放映されたアポロからの実況中継には、"月面"にコーラの缶が転がっていたとか。

こんなバカバカしい都市伝説を、いちいち引っ張り出して捏造の根拠にするのは、もういい加減にされてはいかがだろうか。



《 アポロの大き過ぎるウソ 》米FOXテレビ『Conspiracy theory : Did We Go to the Moon?』より


ユーナ・ロナルドの話「月面を歩いてる宇宙飛行士を見ていたら、画面右下にコーラのビンのようなものがあり、それが蹴られ、画面を横切ったんです。本当にビックリしてしまいました」


この人が見ていたアポロ11号の月面中継と言えば、この↓ボケボケの映像しかない。しかも「蹴った」ということは、飛行士の全身がロングで写っていたということだ。そのサイズで見えたものを、なぜ一瞬でコーラのビンと判別できたのか?恐るべき動体視力だ。

仮に百万歩譲って、スタジオセットでの撮影だったとしよう。そうだとしても、なぜわざわざカメラの前でビンを蹴り上げ、目立たせるようなことをする必要があるのか?


同上

コーラビンの話は「月の雑学」の、こちらのページでも採り上げられている。

しかしそちらの話では、アームストロングが罵り声を上げ、何者かの手が画面に入り、コーラビンを取り除いたという。上の話と全く違う。このようにバリエーションが生まれるのも、都市伝説の特徴だ。
オーストラリアのテレビ局は中継映像を全て録画している。だがユーナ・ロナルドの話では、その映像は翌日の再放送でカットされていたという。

またぞろ“隠蔽工作”を匂わせる話の造りだが、オーストラリアは映像の中継に「協力してあげた」だけで、アメリカのアポロ計画とは何の利害関係もないのだ。
オーストラリアのテレビ局がそんな“隠蔽”に加担するいわれはどこにもない。そんな映像があったら、それこそスクープとして報道していたはずだ。

例えば、中国の神舟ロケットが有人月着陸に成功したとし、日本がその中継に協力したとしよう。そこにコーラビンが写った場合、日本のテレビ局がそれを隠蔽する理由があるだろうか?
FOXテレビの出演料がいくらかは知らないが、ユーナ・ロナルドなるオバチャンもなかなかの熱演だ。いずれにせよコーラビンの映像は、このオバチャンの脳内にしかないので、誰にも検証できない。



●靴の跡?


そしてこのビデオ、月面に残された宇宙飛行士のブーツならぬ靴の跡とか、(^^;

飛行士のブーツとは違う足跡が月面にあるそうな。「A footprint of a shoe on the Moon!」
http://www.youtube.com/watch?v=ZzkoG0SIEcs



「A footprint of a shoe on the Moon!」より

オイオイ、足跡と周りのピクセルのボケ具合が全然ちがうじゃないか(笑)。それにこの足の向きで、何でポツネンと一つだけあるのか?唐傘お化けみたいな奴の足跡か?


Apollo image atlasより

オリジナルの該当箇所拡大。えーと、あのー‥‥何もないんですけど。

こんなのはニセ心霊写真やニセUFO写真の類だ。こんな、向こうのバカなガキが作ったような幼稚なダマシを「月着陸捏造の証拠!」と、大の大人が真に受けているのだから世話はない。


●「スポーク状の反射じゃないからニセモノだ」



同時多発テロはヤラセだよ! アポロ、月面着陸の嘘
http://insidejobjp.blogspot.jp/2012/08/blog-post_5.html#moreより転載


よくもまァ、ご自分の無知をこれだけ臆面もなくネットに晒せるものだ。何だかもうこちらが赤面してしまうではないか。

このスポーク状の光は「光条」と呼ばれるもの。点の光源に対して、広角レンズで絞りを絞れば誰にでも撮れる。下は作例。逆に絞りを開放にすれば、この光はぼやけていく。


http://pchansblog.exblog.jp/4589521/より転載           http://photohito.com/photo/532231/より転載
下はアポロ12号の写真。アポロの写真でスポーク状の光条が写ってないのは、60〜80mmの標準レンズを使っていたから(それでも絞りを絞っているためか、若干の光条が出ている)。

Apollo image atlasより

アポロ以後の宇宙飛行士の写真。単にそれぞれの撮影条件が異なるだけで、真空状態がどうのこうのは何の関係もない。

Discovering Infinity and Beyond他より

"The Lies in your Visors"(「君らのヴァイザーに見える嘘」)http://www.youtube.com/watch?v=xx9nXYC1bSE
この動画をアップした人も、こうした事を知らずに「捏造の証拠を見つけた!」と、舞い上がったのだろう。


●「後者が残っていた!」


船の上昇に伴って、カメラが上を映すために動いている!#もう誰も月にはいないはずなのに。(^O^;

この方の言っているのはこの映像のことか。
「Last Humans on the Moon」http://www.youtube.com/watch?v=cOdzhQS_MMw


この文章の前に「ルーナー・ローヴァー(宇宙飛行士が月面で乗り回していた車両)にくくりつけたカメラが捉えているのですけど」と書かれている。それをご存知なのに、いったい何を驚かれているのだろうか?
ルナ・ローヴァー(以下LRV)に取り付けられたVTRカメラ。月面では耐熱シートで覆われた。月上空の司令船からリモートコントロールできる。
着陸船の上昇を写すために、無人カメラを操作しただけのことではないか。

Lunar and Planetary Instituteより


アポロ11号で、無人カメラの作動チェックをするコリンズ飛行士。

Apollo image atlasより

15、16号でも着陸船の上昇を写そうとしたが、上手くいっていない。17号でやっと上手くいった訳である。上の動画の全長版↓。
「APOLLO 17 Lunar Liftoff」http://www.youtube.com/watch?v=HyWVGa6I7Gk

ただ、これも上昇の後コントロールが上手くいかず、着陸船を見失ってしまっている。その後カメラは無人の月面を27時間写し、バッテリー切れと共に映像は途絶えた。

●噴射がない?

おまけにこの打ち上げ時の、お尻から噴射も何もない様子は何!?かの我等が日本の円谷プロダクションだって、もっとマシに作れたんじゃないかと思ってしまう。

月面上で、着陸船の噴射を肉眼で見た人間は誰もいない。したがってその映像が“リアル”なのかどうかは、誰にも分からない。

だが「噴射がないからリアルじゃない」というのは、実際にどのような燃料が使われていたかをご存じないだけだ。

着陸船にはエアロジン50という燃料が使われていた。航空燃料のケロシンに似て、炎は殆ど見えない(ジャンボ旅客機が真っ赤な炎を吹いて飛んでいるだろうか)。

着陸訓練機LLRVを使った訓練風景。LLRVは過酸化水素系燃料だが、地上でもこの通り炎は見えない。


しかも月の重力は地球の6分の1であり、空気抵抗もないので、離陸には小規模な噴射で十分なのだ。「ロケットの噴射は炎が見えるはずだ」という、固定観念に捕らわれておいでなのだろう。

●積む場所がない?

米軍にいる私の仲間で、かつてはアポロのような宇宙飛行士になるつもりでいた人がおり、(中略)彼は月着陸船の図面まで持っていたのですが、それを調べたら、どこにもあのルーナー・ローヴァーを載せる場所・空間が存在しないことが判明!

#とんだお笑い。彼にはショックだったけど

LRVが月面で使用されたのは15号からである。その図面が15号以前のものなら、LRVの収納場所が書かれていないのは当たり前の話だ。

下図のように、着陸船中央のメインノズル周りには、上から見ると十字型に4個の燃料タンクが配される。LRVはその三角コーナーに収納された。


collectspace.comより


このように三角形に折り畳んで積まれる。右は取り出し方のマニュアル。

collectspace.comより


下、右は取り出す訓練をしているところ。引っ張り出すと同時に、車体が自動的に展開する仕組みのようだ。

cosmoquest.orgより

その米軍関係の人の話が事実なら、この方は何も調べずにデマを伝えて、その人にショックを与えたことになるが、そういう理解で良いのだろうか?



●暗殺話は続くよいつまでも


他にみつけた重要な事実は、アポロ11号が"月へ"行く2年前の1967年1月27日に、最初のアポロ(1号)に携わった宇宙飛行士たち3人が不審な火災事故で殺された件。(中略)

イルミナティ連中の命令どおりに芝居をするはずがない人だったので、エド・ホワイトとロジャー・チャフィーと一緒に殺され、それを調べていたトーマス・バロンという関係者も殺されたのです。


イルミナティでもフリーメーソンでも何でもいいが、この話が根本的にオカシイことにお気づきにならないのだろうか?

例えて言うなら「あいつは我が社の新車に安全性の欠陥があることをバラそうとしている。事故に見せかけて奴を消そう」と、その新車に乗せて殺すようなものなのだ。

実際、このアポロ1号の火災死亡事故によって、マスコミや連邦議会から非難が巻き起こり、その後約1年半、アポロ計画は停滞した。「事故に見せかけて殺した」つもりが、自分たちの首まで絞めたことになる。全くバカである。

こんな道理に合わない上に、人聞きの悪い話をいつまでバラ撒き続けるつもりなのだろうか。


バロンの報告書は不思議なことに紛失、いまだにみつかっていない。実に、出来過ぎた話です。

他ページにも書いたが〈バロン・レポート〉はちゃんとNASAのサイトに掲載されている。こちら。この手のデマはもう耳にタコだ。

●こじつけの限界

月面の映像を撮影したのは(中略)映画監督スタンリー・キューブリックだったと言われていて、『シャイニング』はまるで「ホラ、あれは俺が作ったんだぞ」と言わんばかりのヒントで満ちていました。

この方もキューブリック関与のヨタ話を信じておられるようだ。まァ信じること自体はその方のご勝手なのだが。

「シャイニング」の話は、恐らくこちらのブログ〈映画シャイニングの秘密〉から持ってきているのだろう。元はデイビッド・アイクなる方のサイトかららしい。
いやはや恐れ入る。「人間はどこまでこじつけが可能か」の限界に挑戦しているかのような文章だ。確かに主人公の息子、ダニーがAPOLLO11と入ったセーターを着ているなど、実に細かいところまでよく見ている。

しかし、根本的なところにツッコミたいのだが何でそんなまわりくどい事を?
1969年にビートルズが出したアルバム「アビイロード」のレコードジャケットの細部をこじつけ、「ポール・マッカートニー死亡説」なる珍妙な話が出回ったことがある。似たようなことを考える人はいつになってもいるようだ。

ちなみにこのデイビッド・アイクなる方、可哀想にサッカー選手時代に、脳の一部を損傷か何かしたのか、現在は「人類はレプティリアン(ヒト型爬虫類)に支配されている」と、熱心に力説しておられるそうな。



↓日本語サイト(まるで日曜日の真昼間に訪問してくる、宗教関係の方が下さるチラシのようなサイトなので、閲覧には御覚悟を)。
http://www.davidicke.jp/blog/

(16)双子が出てくるのは、キューブリックが(1)2001年宇宙の旅と(2)ニセの月着陸の2つのプロジェクトを同時に行っていた象徴である。
http://icke.seesaa.net/article/130610066.html

上のシャイニング話もツッコミ始めたらキリがないので一つだけ。「2001年宇宙の旅」は1968年の公開で、アポロ11号月着陸はその一年後の69年である。


●誰のこと?

嘘は大きければ大きいほど、人々は「そんな馬鹿な!」と事実を調べもせず、その嘘を信じ続けてしまう好例

「事実を調べもせず、その嘘を信じ続けてしまう好例」―――これはどうやら、このブログ作者のことのようだ。


●デッチあげられ続ける証言・映像

当サイトの宮崎冤罪説検証パート〈脱輪に関する証言〉でも、冒頭のvelvetmorning氏の別名、ccplus名義のブログから、以下の文章を引用している。ここで再度引かせてもらおう。

目撃者が事件現場で見た脱輪車を「(宮崎のラングレーではなく)トヨタのカローラUだった」と証言していたことについて、こう書いている。


〜ハンドルやら何やらに、トヨタのマークが付いているからだ。間違えようがないではないか。

彼らプロが、当該の車を”トヨタ系の2ボックスカー”と表現したのは、運転席でトヨタのマークを確認しているからであり(略)
http://ccplus.exblog.jp/8752100/


氏は、「目撃者はトヨタのマークを確認している。だから脱輪車は宮崎の車ではない」と主張している訳だ。

筆者はこの件について、調べ得るあらゆる資料を調べたが、そんな証言はどこにも存在しない。ましてこの時期、お馴染みのトヨタのマークはまだ制定されてもいない。
つまりこの方は、有りもしない証言をデッチあげておいて、知らん顔をしたまま、現在も怪しげな陰謀論をアップし続けているのだ。

別のエントリには、こんなケッサクな一文まである。


筆者は、ものごとを調べる時、必ず事実を元に考えていきます。
http://velvetmorning.asablo.jp/blog/2013/01/17/6693754

そうですか(笑)。

宮崎勤が冤罪だと主張するのも、アポロ計画が捏造だったと主張するのも、ご勝手でありご自由である。だがそのためにニセの証言を捏造したり、ニセUFO写真の類を本物と偽って貼ったりするとなると、それはもはや「ペテン」の領域だ。

筆者もこんな、人の揚げ足を取るようなページばかり作っているのは、正直気分のいいものではないが、こうしたデマページを見るにつけ、黙っておれない性分なのでいたしかたない。



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