「アポロ計画の謎」のウソ

西川渉という方のサイトにある〈航空の現代:アポロ計画の謎〉というWebページ。日付が2000年なので、10年以上前から公開されている、月着陸否定論としては“老舗”ページだ。

「何を今頃10年前のページを上げつらうのか」と言われそうだが、現在もネットに公開されている以上、現在でも同じ主張をしているページと解釈する。

おまけに月着陸否定派の中には、今だにこのページを「アポロ計画捏造の証拠」と、リンクを張っている人がいるのだ。

では老舗ページに敬意を払いつつ、ツッコませていただこう。



●定番中の定番



空気のないはずの月面で、なぜ星条旗が風にはためいているのか――月面着陸の写真を見ていて小さな疑問をもったラルフ・リーンという技術者がNASAの発表した写真、映像フィルム、報告書類を精査し、人類はまだ月に行っていないという結論に達した。

「空気がないのに旗がはためくのはおかしい」―――真相など言い尽くされているのに、アポロ捏造論者は全く聞く耳を持たず、何十年も飽きずにこの物言いを繰り返している。

カッコ良くはためいて見えるよう、波打たせてシワをつけただけである。旗のポールはL字型で、上辺に芯棒が入っている。

69年7月5日付けの読売新聞にも、AP電として「布の中にワイヤを入れてはためいているように見せてある」とある(ここで言ってるワイヤーとは芯棒のこと)。

オリジナルの連続写真。左は国旗に敬礼するオルドリン。右の写真でオルドリンがわずかに体の向きを変えているが、国旗のシワは寸分たがわず同じである。はためいているのならこんなことはあり得ない。


Apollo image atlasより

仮に作り物だとして、これだけ威勢良く旗をなびかせるには、大きな扇風機で風を起こさなければならないだろう。

だが足跡のつき方を見ると、まるで片栗粉のようなパウダー状の砂(レゴリス)だ。それでは大きな砂塵も巻き上がってなければおかしい。

下は着陸船から撮った星条旗。連続写真なのに、旗の形状は全く変わっていない。


Apollo image atlasより

そもそも月面が真空なのは誰でも知っている(科学に無知な捏造論者以外は)。それなのにわざわざ風を起こして旗をなびかせ、後からツッコまれるネタを作ってどうしようというのか。

ラルフ・リーンとかいう人物は「NASAの発表した写真を精査」したそうだが、これら一連の写真を見るだけで、旗がはためいてなどいないことは一目瞭然ではないか。いったい彼は何を「精査」したのだろうか。

オーストラリアの人からの文書云々とあるが、これは92年に自費出版された「NASA Mooned America」の要約であろう。著者はRalph
アクサンテギュがついているので(フランス系か?)ラルフ・リーンではなくラルフ・ルネと読む。


●「何故はっきり見えない」


初めての月面着陸と称する「人類の最も偉大な成果」のテレビ画面でも、ほこりや岩の向こうにぼんやりした白い幽霊のような人物が2人うごめいているだけ。

何故はっきりと見えないのか。NASAは直接リンクされていなかったからと言うだけで、誰も確かめることはできない。



確かめるも何もない。月面着陸予定時、ケネディ宇宙センターは地球の裏側になるため、代わりにオーストラリアのパークス天文台に中継してもらったのだ。

月面から地上への電波は大気や磁場の影響を受ける。ボケるのは当然だ。ちなみに当時の
VTRカメラの走査線は200本。現在のハイビジョンカメラの走査線は1125本である。

下は無人テレビカメラからの画像。司令船や地上の管制センターからでもパンやズームの操作ができる(月上空の司令船には3人目の飛行士、コリンズが搭乗)。

アポロ11号―月面着陸から現代へ(2009/河出書房新社)より


●失敗がない?

その一方で、静止画像は鮮明である。宇宙飛行士は数千枚の写真を撮り、その全てが完璧な露出で1枚のブレや失敗もなく、きれいに現像されている。摩訶不思議というほかはない。


Apollo image atlasというサイトで、アポロ飛行士が撮った全ての写真を見ることができる。

その中にはブレたり、ピンボケだったり、構図が変になってしまった失敗写真がいくつもある。ラルフ・ルネはものを知らないだけだ。


Apollo image atlasより

●「フィルムが駄目になるはずだ」


カメラのフィルムは月へ到着するまでに、途中の強力な宇宙線によって駄目になってしまうのではないか。

また宇宙飛行士たちは、月面で宇宙服を着たままカメラを調節したり、フィルムを入れ替えたり、フィルターを交換したりしたようだが、指を使わずにどうやってそんな細かい作業ができたのか。



チェルノブイリ原発事故での、炉心周辺を撮ったフィルム映像をご覧になったことがあるだろうか。

たちこめる放射線でフィルムが感光し、チラチラと白い光が映る、実に不気味な映像だ。だが映像自体は、事故現場の様子を鮮明に映し出している。

生身の人間ならたちどころに倒れるほどの放射線の中でも、フィルム撮影は可能なのだ。ましてや宇宙空間は原発内部ではない。「だってフィルムが駄目になりそうじゃん」という、思い込みで書いているだけだ。

「指を使わずに」も意味不明。余分な荷物を持てないので、フィルム交換等の作業は着陸船の中で行う。


●複数の光源?


月面に映っている影から見て複数の光源――何か強力なスポットライトで照らされているように見えるが、月の上の光源は太陽だけではないのか。

とりわけアメリカの国旗(星条旗)と「米国」という文字には、どの写真を見ても、周囲が暗いときでも常に明るい光が当っている。



これらも、何度説明されようと、右の耳から左の耳へ抜けていくかのように繰り返される話だ。ここで繰り返すのもウザイだろうから、「月の雑学」のこちらこちらを参照してほしい。

●「場面が合致しない」

また、同じ場所で同じときに撮ったとNASAが主張するスチール写真と映像フィルムの場面が合致しない。


2002年にバラエティー番組「これマジ!?」で放送されて以降、日本人の多くに広まったネタだ。

正確には「スチール写真と映像フィルム」ではなくビデオ映像なのだが。これについては「月の雑学」のこちらのページで解説されている。


●死の放射能?


疑問はもっとある。バンアレン帯の外側は太陽面から立ち昇る巨大なフレア(火炎)などから発した死の放射能が満ちている。

そのバンアレン帯を超えて月まで24万マイルも飛んで行く間に、太陽では少なくとも1,485回の彩層爆発によるフレアが生じたはずだ。
この放射能を防御するには厚さ2m以上のシールドが必要だが、そんなものは月面着陸船にもついていなかった。



「バンアレン帯の外側は死の放射能で満ちている」――???あのー、バンアレン帯そのものが地球の磁場で吸い寄せられた放射線帯なんですが。

「宇宙空間は死の放射能で満ちている」――筆者ごときが突っ込むのもナンだが、そもそもこの表現自体が非常におかしい。


確かに宇宙空間には多量の放射線が飛んでいる。だがその90パーセント以上が陽子で、残りが電子と陽電子である。それら陽子線、アルファ線、ベータ線、紫外線などは宇宙船の外壁で十分遮蔽できる(アルファ線などは紙一枚で止められる)。

夏場に海水浴で日焼けすると水着の跡が残るが、それは水着で紫外線が遮られるからだ。

資料によって数字はまちまちだが、バンアレン帯を通過する時の放射線量はおおむね20ミリシーベルト前後。到底たちどころに死ぬような線量ではない。しかもロケットは秒速9キロ、数時間でバンアレン帯を突っ切ってしまう。

もちろん完全に遮蔽しきれない、透過力の強い放射線で相当量の被曝はするが、それは飛行士たちも十分承知の上だ。「地上よりも大量に被曝するなんて聞いてないよ」などという宇宙飛行士はいない。

バンアレン帯を通過するだけで死ぬのなら、アポロ8号、10号の乗員や、ソ連のゾンド5号に乗せられたカメも死んでいたはずである。



中野正勝[航空工学特論A] より


>太陽では少なくとも1,485回の彩層爆発によるフレアが生じたはずだ

1,485回という数字の根拠が全く不明なのだが。

太陽では一日に何度もフレアが発生するが、その大きさはピンキリだ。通常は小規模のCクラスが一日に5〜10回程度。デリンジャー現象を起こすようなX-10クラスが地球に向けて発生するのは数年に一度である。

アポロが地上から月面に到達するまでは平均4日間。つまり「月まで飛んで行く間に」発生するフレアは、Cクラスがせいぜい3〜40回程度ということになろう。

くどいが、そのクラスの放射線は十分遮蔽できるし、ほとんど人体に影響は及ぼさない。

もちろん大規模なX-10クラスが発生した場合、致死量の被曝をしていた可能性はNASAも認めている。そういう意味ではアポロ計画が無謀な側面を持っていたのは事実だ。

しかし民間人が宇宙飛行士になる現在と違い、当時の飛行士は殆どが軍人であり、命の危険は十分覚悟の上で志願していたのだ。




上はこのページを作成した日の太陽フレア検出図。Cクラスが5〜6回程度だ。宇宙天気ニュースというサイトでその日のフレアの状況が閲覧できる。

●「原発の放射能など微々たる量」


宇宙飛行士の着ている宇宙服も、それほど強力な防護が可能ならば、何故ソ連のチェルノブイリ原発事故のときに利用しなかったのか。

宇宙飛行士が浴びた宇宙の放射能にくらべれば、原発の放射能など微々たる量に過ぎないはず。



何じゃこれは。小学生のナンクセか?アポロの宇宙服は単体で約30キロ、酸素タンクや内部冷却装置を背負えば80キロである。

そもそも宇宙空間用に開発された服であり、地上では機敏な動きなどままならない。そんな服を着て、1分1秒を争う現場で活動ができると思っているのか。


>宇宙飛行士が浴びた宇宙の放射能にくらべれば、原発の放射能など微々たる量に過ぎないはず

恐るべき無知である。どうもこのページの文章から察すると「放射能」と「放射線」の区別すらついていないようだ。

原文は英文のようだが、西川氏が翻訳したのであれば、西川氏自身も区別がついていないということで良いのか。
宇宙空間を飛んでいる自然放射線と、原発事故で出る人工の放射能を混同するとは言語道断だ。

チェルノブイリ原発からは、自然界には存在しないヨウ素131、セシウム137、ストロンチウム90といった、毒性の高い危険な放射性物質が約5千万キュリー、広島原爆約300個分放出されたのだ。

それらの発するX線、ガンマ線、中性子線によって、ろくな防護服も無いまま消火活動にあたった消防士たちはバタバタと死んでいったのだ。


●「みんな黒焦げだ」

アポロ16号が飛んだのは巨大なフレアがはじまったときで、「宇宙船の中の人間はみんな黒焦げになって死んでもおかしくなかった」とリーンは言う。


1972年の大規模フレアは8月4日の発生である。アポロ16号のミッションは同年の4月、17号は同年12月。

時系列も調べずにデタラメを書いている。それに放射線で「黒焦げ」になったりはしない。

太陽フレアもバンアレン帯も、否定派に指摘されるまでもなく、宇宙開発に携わる者なら常識の知識だ。それらに最低限耐えうるための研究と開発を、何年もかけて行っていたのだ。



●「マグネシウムを焚け」

アメリカは何故、月面から地球へ、地球上どこからでも見えるような信号を送って国の威信を宣伝しなかったのか。
たとえばマグネシウムの炎を上げるだけでもよかったではないか。


はァ!?それこそ核爆弾並みの爆発を月面で起こさなければ、地上から見るなど不可能だ。それにはいったい何トンのマグネシウムが要るのか。
だいたい真空の月面で、どうやってマグネシウムを燃やせというのか。
月着陸船は、ブリキ板やアルミホイルを貼り付けたような、いささか不恰好な外観だ。このブログのように「こんなハリボテで月に行ったと皆が信じてるのに笑ってしまいますね」という印象を持たれても仕方ない。


だがあれは必要最低限の機能だけを残し、ギリギリまで軽量化したゆえの姿である。限られた燃料と酸素だけで帰還するために、装備の軽量化は絶対条件だったのだ。

アポロ11号―月面着陸から現代へ(2009/河出書房新社)より

着陸船の実物大模型と、地上での訓練の様子。実物より数段見栄えがいい。捏造するならこっちを使えば良かったのに(笑)。


余分な重量は増やせない上、月面での活動をテレビで生中継できるというのに、そんなアホな目的で「何トンものマグネシウムを月面で燃やそう」などと言い出すバカは、
NASAにいなかっただけの話だ。

ちょっとこのラルフ・ルネなる人物は、頭が悪すぎる。アポロ捏造論者を批評する海外サイトで「彼を見ていると、良い教育とリサーチが大切なことが分かります」と書かれたそうだが、ごもっともだ。

これがラルフ・ルネ。うはァ、見るからに知能程度の低そうなオジサンですなwww

http://www.moonhoax.com/site/testimony.htmlより

口封じ?


実は、初めて月に到達したとされるアポロ11号が出発するまでに、11人の宇宙飛行士が死んでいる。うち3人の死因はせまい宇宙船の中で酸素が爆発したため、7人は飛行機事故、1人は自動車事故である。

この事故率は非常に高い。NASAの陰謀を隠す口封じのために、事故に見せかけて殺されたのではないのか。



アポロ1号で3人の飛行士が火災事故で死亡したのは事実だが、酸素の爆発って何ね?酸素は引火性ガスではない。単独では燃焼しない。


アポロ11号の出発前に、飛行機事故で7人の宇宙飛行士が死んだ?そんな話は初耳だ。もしかして1986年のスペースシャトル「チャレンジャー」爆発事故のことを言ってるのか?アポロ計画終了から14年後なんですけど?
トーマス・R・バロンの件も、陰謀オタクには美味しいネタのようだ。彼は実際、アポロ計画の欠陥を〈バロン・レポート〉で指摘した後、自動車事故で亡くなっている。

その後レポートは消えてしまったと、まことしやかなデマが流布しているが〈バロン・レポート〉はちゃんと
NASAのサイトに掲載されている。こちら

バロンが交通事故で死んだのは1967年4月。アポロ1号の痛ましい火災事故は、その3ヶ月前の67年1月である。

直後に事故調査委員会や
NASA自身によって、安全性の不備に関する膨大な報告書が作られたのだ。そんな事故が起きてしまった後で、わざわざバロン一人を暗殺する必要がどこにあったと?



●映画の見過ぎ


宇宙飛行士はいったん乗りこんで1日くらい経ってから、ロケット発射の前にひそかに降りてしまうのだ。

そして1週間ほどどこかに隠れていて、宇宙船が戻ってきたとき、それを洋上で回収したヘリコプターから手を振りながら降りてくればいい。



どうやら映画「カプリコン1」のイメージに相当毒されているようだ。

アポロの脱出カプセルが大気圏に再突入し、パラシュートで海面に着水、ハッチから3人の飛行士が出てきてボートに乗り込む一部始終は、全世界につぶさに中継されていたというのに。

http://www.youtube.com/watch?v=94AECQPxUOw&feature=related(英語音声)


しかも彼らが大衆の前に「手を振って」現れたのは、検疫が済んだ三週間後である。

だいたい「宇宙船が戻ってきたとき」と書くが、その宇宙船は誰が操縦しているのか。誰が多段ロケットやカプセルを切り離したのか。
まァ否定派からすれば、何でもかんでも全部“捏造”で済むんだから、楽で羨ましいよw。

ちなみに現在でも売られている明治製菓のアポロチョコ。あの三角錐のデザインは脱出カプセルをイメージしたもの。


●下からの写真?

さらにアポロ11号のアームストロング船長が「人類の偉大な第1歩」を月面に印すとき、カメラは下から撮っていた。
そのカメラマンは月面に横になっていなければならなかったはずだが、それは誰だったのか。


この写真のことなのか?これは最初に降りたアームストロングが、二番目に降りてくるオルドリンを撮った写真なんですけど?そんなことも知らなかったんですか?

アームストロングが降りるところを「下から撮った」写真など存在しない(月面のアームストロングを撮った写真は、実は2枚しかない)。

有名な「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが〜」と語るシーンは
VTRカメラで中継されたが、それは着陸船の脚部にセットしたカメラから撮ったものだ。

Apollo image atlasより

調べればすぐ分かることを調べもせず、ご自分の無知だけで変な話をばらまくのは、もうカンベンして下さい(苦笑)。



●「証拠にならない」

月の石と称するようなものは実験室で簡単に製作できるし、あとの証拠は写真と映像フィルムにすぎない。そんなものは証拠にならない(略)


あなたが富士登山をしたとしよう。おみやげに山頂の石ころを持ち帰り(そういう行為はちょっとアレかも。例えです、念のため)、山頂で記念写真を撮ってきたとしよう。

だがそれを「捏造だ」「こんなものは証拠にならない」「お前は本当は富士山に登ってなんかいないんだろう」と言われたら、あなたは次に何を証拠として見せるだろうか。どうやって証明するだろうか。


もちろん、何を見せようと彼らは絶対に信用しない。永久にウソだ捏造だを繰り返し続けるだろう。もはや彼らは「アメリカ陰謀教」のカルト信者なのだから。

●「誰が撮った」

 また、アポロ16号の月着陸船が月面から離昇してゆくとき、カメラがそれを追ってパンしてゆく。そのカメラを誰が操作していたのか。


着陸船上昇や、月面活動をする二人の宇宙飛行士の画像は、無人カメラを司令船からリモートコントロールしていたのだ。こんなことも知らずに陰謀説を書くとは、何ともはやだ。


●カメラを持っていない?



アポロ12号から月面に降り立った飛行士は2人だけだった。その2人が月の上を歩き回っていたとき、1人のバイザーに映っていた飛行士はカメラをもっていなかった。いったい誰がその写真を撮ったのか。


しかしまァ「誰が撮った」と、何度もくどいお方だ。下がタネ明かしの写真である。

Apollo image atlasより

このように、カメラは胸に装着したまま操作できるようになっていたのだ。バイザーに映ったもう一人は、ちゃんと片手をカメラに添えている。
西川氏はこのように書いている。

実際に自分でも確かめたいと思って、NASAのウェブサイトに行ってみた。長時間をかけて探し回り、いくつかの写真を集めてきたのがここに掲げる数枚だが(略)

ということは、このWebページの写真は西川氏が掲載したものということだ。

そのまま載せると「カメラをもっていない」というキャプションのウソがバレるので、胸の部分をカットしたのだろう。“隠蔽”をしているのはいったいどっちなのか。



●「星が写ってない」

月面から撮った写真は、どれも背景の夜空に星が写っていない。八ッブル望遠鏡では星が見えるのに。


このページは10年前のものだが、もういい加減、こんなカビの生えたネタをいつまで繰り返し続けるのか。

これも月の雑学その他に、イヤという程答えが書かれている。しかし否定派は延々と「星が写ってないのはおかしい、捏造だ」と、無限ループを続ける。

それはそうと「ハチッブル望遠鏡」って何?長屋の八っつぁん?w


●影がない?



旗の影はあるのに、人間の影がない。(飛行機の中で、無重力状態で撮った写真をあとからはめこんだのではないのか)

これはアポロ16号の写真。この連続写真はApollo image atlasの、こちらのページに掲載されている。

Apollo image atlasより

左から右で、人物の位置が下がっているのがお分かり頂けるだろう。つまりこれは、ヤング船長がピョコンとジャンプしたところを撮った写真なのだ。

足が地面から離れているのだから、当然影も離れる。3枚目の写真では、ちゃんと普通に影がついた状態で写っている。


「無重力状態で撮った写真をあとからはめこんだ」などと書いているが、この写真だけ、なぜそんなバカバカしい加工をする必要があるのか。

連続写真を見れば簡単に分かることを調べもせず「影がない。捏造だ」とは、呆れてものも言えない。




●「放射能は体にいい」


いかがであろうか。驚くべきはこのページを、東京大学理学部を出ておられる方が公開しているということだ。

元の文章の作者はラルフ・ルネなのだろうが、これは西川氏による直訳なのか。こんな初歩的な誤謬の数々を、ご本人は承知の上で掲載しているのだろうか。
確かにこの方は、航空業界では権威のある人物なのであろう。その意味では尊敬の念を抱くし、個人的に何の恨みもない。

だがご覧の通り、こんなウソとデマに満ちたページを10年以上に渡ってネット上に公開し続けていることの是非はどうお考えなのだろうか。もしも冗談なら、その旨一言あって然るべきだろう。


もちろんウソまみれのページを公開しようが、余程の事がない限り法に触れる訳ではない。とどの詰まりは個人の良心の問題だ。

ちなみにこの方のサイトにはこんな凄いページもある(野次馬之介とは別名なのか別人なのか不明だが)。

〈野次馬之介〉放射能は怖くない

〈アポロ計画の謎〉では「バンアレン帯の外側には死の放射能が満ちている」と、訳の分からない文章を載せておきながら、ここでは「適度な放射能は体にいい」「宇宙飛行士はみんな健康になって帰ってくる」である。全くメチャクチャだ。

もっともこの文章は渡部昇一という、歩く放射性廃棄物のような男のトンデモ本を、西川氏が受け売りしているようだが。

渡部の本の方は読んでいないので言及できないが、「広島の原爆を受けた80過ぎのクラスメートが今も元気だ」などと書いているところを見ると、どうもラジウム、ラドン等の自然界にある放射性物質と、原爆や原発事故から出る猛毒のストロンチウム90、プルトニウム239等をゴッチャにしているフシがある。だとしたらすさまじい無知だ。



では適度の放射能とは、実際にどのくらいか。著者はおそらく毎時20ミリシーベルトと毎時50ミリシーベルトの間にあるのではないかと推定している。


ひええ!毎時20〜50ミリシーベルト被曝すれば健康にいいらしいわよ、奥さん!ちなみに50ミリシーベルトとはこういう数字だ。


東京電力は27日、福島第一原子力発電所1号機の原子炉建屋地下で、 建屋内では過去最大の放射線量となる、毎時1万300ミリ・シーベルトを計測したと発表した。

作業員の年間被曝(ひばく)限度である50ミリ・シーベルトにわずか約20秒で達し、約6分で嘔吐(おうと)などの急性症状が出る。
廃炉に向け、建屋地下では汚染水の漏えい場所の特定や修復が必要だが、東電は「作業員が入れるレベルではなく、ロボットを使った難しい作業になる」と話す。(以下略・傍線筆者)

(2012年6月27日20時37分 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20120627-OYT1T01115.htm?from=top


原発作業員の年間被曝限度が50ミリシーベルトなのだ。つまり一年間に浴びる限度の量を、毎時浴び続けるのが「適度の放射能」なのだそうである。

渡部でも西川氏でも野次馬之介でも誰でもいいが、そのように主張されるなら、ぜひチェルノブイリか福島の立入禁止区域内に移住して、健康レポートをアップしてほしいものだ。

とは言え「適度な放射能は体にいい」が100パーセント間違いという訳ではない(ただしここは当然「放射線」と書くべきところだ)。

もちろん“適度な”ラジウム温泉や日光浴は健康に良い。それらの放射線が体内の細胞活動を活性化させるのは事実である。


しかし人工的な核分裂反応で作り出された放射性物質を、多量に浴びたり口から取り込むと、それらは体内に蓄積され、強い放射線で細胞や
DNAを損傷し続けるという悪さを働くから危険なのだ。そこのところは混同されぬよう。



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