■宮崎事件は「仕組まれた」?

@さて、この事件では、何が操作されたのか?

それは、リクルート事件などで窮地に追い込まれていた利権集団が、それらの批判を交わすため、あるいは、それらの取材を行っていた弱小の出版社を潰すために、メディア規制させるためのキャンペーンを、あの事件を通じた中で仕込んでいったということだろう。
http://ccplus.exblog.jp/8146130

Bあらためて当時をふりかえってみると、宮崎勤事件とリクル―ト事件はあきれるほどパラレルに進行していた。
そして綾子ちゃん事件から宮崎再逮捕に至る日程は思わず天を仰ぐほど政局と一致していた。一見何の関係もない事柄が、どこかでつながっていたとしたら・・・・・・?
http://www.asyura2.com/0505/bd41/msg/730.html



まァ、こんなネット上のヨタ話をいちいち相手にしていたら身がもたないのだが、この「宮崎事件はリクルート事件や政局から、国民の目をそらすために仕組まれたものだった!」が、彼らの結論らしいので、一応検証しておく。



両事件の時系列

リクルート事件

宮崎勤事件
1988年 6月 18日 朝日新聞が川崎市助役へのリクルート・コスモス未公開株譲渡をスクープ報道。
7月 6日 日本経済新聞社長が未公開株譲渡で8,000万円の売却益発覚。同日リクルート社江副浩正会長が辞任。
中曽根前首相、安倍自民党幹事長、宮沢蔵相らへのコスモス株譲渡が発覚。
8月 11日 江副前会長邸の玄関に銃弾が撃ち込まれる。赤報隊が犯行声明を発表。 22日 埼玉県入間市内で今野真理ちゃん(4歳)失踪。
9月 3日 松原リクルートコスモス社長室長の衆議院議員への贈賄発覚。
10月 10日 加藤前労働事務次官への未公開株譲渡が発覚。
19日、東京地検特捜部がリクルート本社他を家宅捜索。
3日 埼玉県飯能市で吉沢正美ちゃん(7歳)失踪。
11月 10日 東京地検、松原社長室長を贈賄で起訴。
15日、リクルート問題特別調査委が未公開株譲渡先リストを公表。21日、江副前会長ら国会で証人喚問。
12月 9日 宮沢大蔵大臣辞任。12日、真藤NTT会長辞任。30日、長谷川法務大臣、リクルートからの献金が発覚し辞任。 9日 川越市の難波絵梨香ちゃん(4歳)失踪。15日に遺体発見。
1989年 1月 24日 原田経済企画庁長官のパーティー券購入が発覚し辞任。
2月 13日 東京地検、江副前会長、小林ファーストファイナンス前副社長、長谷川NTT元取締役を贈収賄容疑で逮捕。 6日 今野さん宅前に遺骨入り段ボールが置かれる。10日、犯行声明が届く。
3月 6日 真藤前会長を贈収賄容疑で逮捕。8日、加藤前次官、リクルート辰巳元社長室長らを起訴。28日、高石前次官を逮捕。 11日 朝日新聞社に告白文が届く。
4月 24日 竹下首相退陣表明。26日、青木秘書が自殺。
5月 22日 藤波元官房長官と池田衆院議員が在宅起訴。
30日、東京地検、捜査終結宣言。
6月 3日 竹下(改造)内閣総辞職。 6日 東京都江東区で野本綾子ちゃん(5歳)失踪。11日、遺体の胴体部分が発見される。
7月 23日 宮崎勤、八王子で幼女への強制わいせつで逮捕(報道はされず)。
8月 10日 宮崎勤の自供から綾子ちゃんの頭蓋骨発見。
11日、宮崎勤を野本綾子ちゃん殺害容疑で再逮捕。
一連の犯行を自供し、台風のような「宮崎報道」がスタートする。
9月 6日 吉沢正美ちゃん、13日、今野真理ちゃんの遺体発見。
東京地検、綾子ちゃんと真理ちゃん事件で宮崎を起訴。
10月 19日 東京地検、正美ちゃんと絵梨香ちゃん事件で宮崎を起訴。



●手品のトリック?

冤罪説ではここで決まって、映像作家、手塚眞氏の「手品のトリック」の例え話が持ち出される。

「何者かが、ある策略によって、あの時期に事件を作らなくてはいけなくて(中略)どういうカラクリかわからないけれども、何か政治的カラクリがある。

例えば、あるものから目をそらせるために、ひとつのものに熱中させるというのは手品の初歩的なテクニックです」

(「Mの世代 ぼくらとミヤザキ君 」太田出版 / 1989より)

そのために用意されたのが宮崎事件だった、と言いたいようだ。

だが上の表を見て頂ければ一目瞭然であろう。リクルート事件の報道は89年6月の竹下内閣総辞職をもって事実上終わっていたのだ。
宮崎事件の報道ラッシュが始まるのはそれから2ヶ月後のことである。


目眩まし?

確かに88年8月から一連の事件は始まるが、宮崎逮捕後の洪水のような報道に比べたら、その量はとうてい比較にならない。


(朝日新聞88年8月23日)

タテ3センチ弱のベタ記事。これが後に日本中を震撼させる“連続幼女誘拐殺人事件”の第一報である。



真理ちゃんの失踪は事件とも事故とも不明のまま、続報はプッツリ途絶える。正美ちゃんに至っては殆ど報道すらされていない。

絵梨香ちゃんの遺体発見以降、不気味な連続誘拐事件として3幼女失踪が関連付けされ始めるも、捜査は進展せず、数日でニュースのトップから降りていった。

宮崎事件とリ事件は発生時期が重なっていただけで、89年2月まで、ニュースとしての扱いは段違いである。“目眩まし”になど、全くなっていなかった。「窮地に追い込まれていた利権集団が批判をかわすため」とは、妄想もいいところだ。
誰も触れないが、何より89年は、元号が昭和から平成に変わるという一大国家イベントがあったのだ。88年末から89年にかけて、圧倒的な物量で他のニュースを押しのけていったのは昭和天皇報道の方である。


(朝日新聞89年5月30日)


偶然の一致を…

B7月の参議院選挙で自民党は惨敗し、同じ日に宮崎勤が逮捕された。そして宮崎が綾子ちゃん殺しを自供した日に海部内閣が発足・・・・・・・・。

政界のドタバタや消費税の不満などは、史上稀に見る猟奇殺人事件報道の嵐の中に埋没していった。
http://www.asyura2.com/0505/bd41/msg/730.html

この短い文章だけでツッコミどころ満載だ。



>7月の参議院選挙で自民党は惨敗し、同じ日に宮崎勤が逮捕された

宮崎の強制わいせつでの逮捕は一切報道されていない。事件自体も微罪であり、父親が娘の将来を慮って発表しないよう頼んでいたからだ。このとき一般の国民は、誰も宮崎逮捕など知らなかったのだ。

それをこのように、参議院選挙という大ニュースと同列に並べることで、何が言いたいのだろうか。

宮崎の逮捕はこの日の午後4時半頃、開票速報が始まったのが午後8時である。いったい両者に何の関係があったと言うのか、お教え頂けないだろうか。


>そして宮崎が綾子ちゃん殺しを自供した日に海部内閣が発足・・・・・・・・

表向きは選挙惨敗の責任をとって、実際は女性スキャンダルというしょうもない理由で、宇野首相はわずか2ヶ月で退陣。

単なる首のすげ替えで海部新内閣発足という、バカバカしい総裁交代劇だったのだ。大掛かりな事件を仕掛けて国民の目をそらせる値打ちが、このニュースのどこにあったのか。

他の事件と偶然日付が一致したのを見つけて、はしゃぐのは結構だが、それを陰謀めいた話にこじつけて雑誌に書くなど、いい大人のすることではない。


>消費税の不満などは、史上稀に見る猟奇殺人事件報道の嵐の中に埋没していった
消費税が実施されたのはこの年の4月1日。宮崎事件の報道ラッシュは8月10日からである。“国民の不満を埋没させるための仕掛け”が4ヶ月も経ってからとは、ずいぶんノンビリした話だ(笑)。


デマを流して楽しむ者たち

リクルート事件も宮崎事件も20年以上を経て風化した。事件にさほど関心のない普通の人は、わざわざ時系列を調べたりしない。そこで


大麻堂.com - 本音アンケートより

↑こんなデマを流せば「へー、そうだったんだ、なんかコワーイ」と、鵜呑みにしてしまうのだろう。

こうしてデマがデマを再生産してゆくという訳である。


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