濡れていなかった脅迫状

同年四月二十八日頃、(中略)脅迫状一通を作成し、これを封筒に入れ、(中略)機会があれば右計画を実行しようと考え、ズボンの後ポケットに入れて持ち歩いていた。

(一審判決文)

事件当日の午後4時半頃から、雨が本降りになっている。中田家の長兄氏が午後7時頃、車で善枝さんを探しに出かけるが「ワイパーもいらない程のどしゃ降りだった」という。
同じ頃、自供での石川氏は、殺害現場から中田家へ自転車で向かっている。そのルートは拙稿〈Wikipediaの偏向記述〉を参照。

後の再現実験では、このルートは自転車では約40分かかるという。石川氏も善枝さんも傘や雨合羽は持っていなかった。

筆者は以前、自転車で大雨の中を走ったことがある。うっかりズボンのポケットにむき出しで入れていた紙幣が、ビチョビチョになって参ったものだ。しかもそのときはもっと短時間だった。

長兄氏が脅迫状を発見したとき「(少ししか)濡れていなかった」というのは、絶対におかしいことだ。

また、脅迫状の訂正箇所は万年筆でなされている。万年筆のインクは水溶性なので、どしゃ降りの中を40分近く(降り出した時間まで含めれば、実に3時間近くだ)ポケットに入れられていたなら、滲んで当然のはずだ。脅迫状が濡れないよう注意した描写は、石川氏の自供のどこにもない。




(万年筆で書かれていた封筒の「少時」も、訂正部分も、滲んだ様子は全く見られない)


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