忘れられた弁当箱

石川氏は当日、弁当を持って家を出ている。これはニセ自白でも、否認後の供述でも共通している。

否認前の自白では、

西武園で食べた空の弁当箱を持って、午後2時半頃入間川駅(当時)に戻り、

●駅前の〈すずや〉で牛乳2本とアイスクリームを買う(ただし『すずや』の人は「当日は肌寒く、アイスが売れた記憶はない」と証 言)、

●空の牛乳ビン一本は捨てて、荒神さまのお祭りの横を通り、ブラブラしているところを偶然通りかかった善枝さんを誘拐、

という流れになっている。

タオルと手ぬぐいを持ち(すでにこの時点で不自然なのだが)、ポケットにはパンパンの細引きひもと脅迫状があり、半分飲みかけの牛乳ビンと空の弁当箱を持ったまま、誘拐を決行したことになっているのだ。この時石川氏はバッグの類を持っていない。

(おまけに2005年最高裁決定では、この上さらに補充用のインク瓶を持っていたそうですw)

牛乳ビンは中田家へ出発する前にカバンの下に埋めたらしいが、その後は「カチャカチャと鳴る」筆入れ(自供によってはさらにビニール風呂敷や財布まで)をポケットに入れたまま、脅迫状を届け、帰りは養豚場からスコップを盗み、徒歩で現場に戻ったとされている。

とにかく「何でそんなにゴチャゴチャ持ち歩くの?」と突っ込みたくなる、不思議な誘拐殺人犯である。

そして事件当日の夜、石川氏はちゃんと弁当箱を自宅に持ち帰っている。

その間、空の弁当箱はどうしていたのか。自供調書では、いつの間にか忘れ去られ、弁当箱については全く触れられていない。




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