“最終食事”
●カレーライスには無かった食材
善枝さんの死体を解剖した結果、胃袋から
〈茄子〉〈トマト〉〈ジャガイモ〉〈ニンジン〉〈玉ねぎ〉〈米粒〉〈小豆〉〈葉〉
の、8種類の未消化残留物が確認された。〈玉ねぎ〉〈ジャガイモ〉〈ニンジン〉〈米粒〉は、当日昼食のカレーライスの食材とダブるが、他はカレーライスには含まれていなかった。
http://flowmanagement.jp/wordpress/archives/171より転載
それらの未消化物の状態から、殺害は食後約2時間後と推定されている(時間については緒論有り)。カレーライスの食材は、すでに消化されて腸内へ行っていた。
善枝さんが最後に級友に目撃された午後3時半以降に、何処かでこれら、トマトを含んだ食事をした後、何者かに殺害されたことは微動だにしない事実だ。
そこに石川氏が一体どのように関与したというのか。石川犯人説を主張する人は、ご説明頂きたい。
●「十分考えられる」(笑)
例によって寺尾判決は、この矛盾を強引にこじつけて片付けようとする。
(略)五十嵐鑑定によれば、胃内容をみるとトマト片がカレーライスの材料の中に混在しているというのであるから、被害者は昼食時にトマトを食べたと考えて間違いない。それは、被害者自身又は学友のだれかがカレーライスの材料として玉ねぎ・にんじん・肉・じゃがいもなどを購入する際にトマトも買ってきてカレーライスの添えものとしたということも十分考えられる。
ただ現在となっては、この点を確かめるすべがないだけのことである。
(控訴審判決)
大の大人がこんな判決文を書いてよく恥ずかしくないものだと感心?する。
たまたまカレーライスの食材とダブる、ジャガイモ類に目をつけ「トマトはカレーライスの添え物で食べたのだ」としているが。
そうなると食後から殺害までは、4時間以上。もっとも消化が遅いはずの肉が消化されて胃の中に無かったのに、なぜ柔らかい野菜のトマトが未消化の状態で胃に残るのか。
ただ現在となっては、この点を確かめるすべがないだけのことである。
確かに控訴審判決は、事件から10年近くを経たものだ。だがここは「確かめるすべがないだけのことである」ではなく、
「確かめるつもりがないだけのことである」が正しい記述だ。
当日、調理実習にトマトを持ってきた者は誰もおらず、善枝さんがトマトを食べるところを誰も見ていない。
もし警察が予断にとらわれずに捜査をしていたなら、そのことは17人のクラスメート一人一人から確認できたはずであり、善枝さんの失踪後の足取りにつながる、重要な情報になったかも知れないのだが。
●一番雄弁に
その日初めて出会った善枝さんに、見ず知らずの石川氏がトマトを含む食事を提供する理由もないし、その場所も時間もない。これだけでも当日石川氏が、善枝さんと関わってなどいないのは明白だ。
(逆に言えば、石川氏以外の何者かに食事を供され、その者と性交し、殺害されたとしか考えられない訳で、そのために様々な推理もなされているのだが。)
判決文がどのような屁理屈で誤魔化そうと、もの言わぬ善枝さんの死体が一番雄弁に「石川さんは事件と関係ない」と語っている。
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