15・石川氏のアリバイ




「狭山事件 一問一答 冤罪論の疑わしさをめぐって」より




>荷小屋に3時間以上もいたら誰か知り合いに目撃されそうなものです。

とのことである。
駅の貨物小屋など、仕事で用事のある者しか立ち寄らない所だ。しかも雨が本降りになり、人通りも少なくなった時刻である。仮に誰かが見かけたとしても、面識が無ければその人が石川氏だと分かりようもない。

『無実の獄25年 狭山事件写真集』より

(石川氏が雨宿りしていたという荷小屋。この中にいた石川氏をどうやって目撃すればよいのだろう?)

それを言うなら、石川氏は(ニセの)自白後の供述で「お祭りをやっていた荒神様の方を通って、山学校のそばまで歩いて行き、そこで出会った善枝さんを誘拐した」ことになっている。

近所の多くの人が集まっていた荒神様付近で、誰からも目撃されていない方がはるかにおかしいではないか。

当日の行動

石川氏は否認に転じて以降、事件当日の行動をこのように語っている。


朝七時半頃、弁当を持って入間川駅に行った。それから電車に乗って西武園へ行った。西武園には九時半頃まで居て、所沢の東莫会館と言う所で二時頃迄パチンコをしていた。弁当はその東莫の前の銀行のような所の脇で食った。東莫へはしばしば行っていた。

その後電車で入間川に戻り、八幡様の近くでタバコ(新生)とマッチを買った。おつり(四円)はいらないと言った。それから(慈眼寺の)石積地蔵の所を通って入間川小学校の月見という所で休んでいた。

すると雨が降って来たので、学校を抜けて駅前の荷小屋へ行った。普通は貨物小屋と言っている。荷小屋に着いたのはおよそ三時半か四時頃で五時頃迄居た。



この日、降ったりやんだりだった雨が本降りになったのは、4時20分頃から。これは航空自衛隊入間基地の気象記録が裏付けている。石川氏が荷小屋で雨宿りをしたのは、その頃の時刻と思われる。

このとき石川氏は、同じく本降りになったため中止となった、東中の野球試合観戦から帰る女子中学生の一団を目撃している。荷台に観戦用のゴザまであったという。これは事実と符号しており、想像では語り得ないことだ。

トラックを見た石川氏

さらにその後、駅に時計を見に行った際、米軍基地に向かう養豚場のトラックを目撃。「いつもは6時頃に行くトラックが、この日はいつもより早く、5時に通ったので妙に思った」と語っている。

米軍基地に出入りする業者は必ずMPのチェックを受ける。しかもこの日トラックを運転していた養豚場関係者は、二人とも厳しくアリバイを調べられている。
石川氏が、犯行の行なわれていた時間帯に駅の荷小屋にいたことは、養豚場関係の捜査資料から証明できるはずなのだが、それは未だにこういうことらしい。


養豚場トラックの捜査資料は当然ながら未開示である。それを開示すれば、「当日午後5時に駅前を走る養豚場の車を見た」と言う石川氏の二審での証言が証明される事になってアリバイが成立し、有罪の根拠が大きく崩れてしまうからである。

「狭山事件を検証する」狭山事件 養豚場 より引用


警察は当初〈複数犯の犯行〉に執拗にこだわっていたので、基地の出入り記録は当然アリバイ関連で調べられ、報告書として上げられたはずである。

もし当日トラック出入りの事実がなければ「ほら見ろ、また石川はウソを言ってた」とばかりに、とっくに発表しているはずだが。


間が抜けたニセアリバイ


>そもそも、逮捕される前の石川は「事件当日は朝から夕方まで兄さんと一緒に近所で屋根を直す仕事をしていた」と家族ぐるみで嘘をついていましたね。

警察が公然と被差別部落を対象に捜査を始めた頃、石川氏は父親に「兄貴と一緒に仕事に行っていたことにしておけ」と言われたという。以後、取調べでもそう供述して否認していた。

恐らく父親としては、事件当日のことをうるさく聞かれる煩わしさを避けるための、他愛のない方便だったのだろう。

このニセアリバイは結果的に「嘘をつくのは後ろ暗いところがあるからだ」と、不利な情状を与えてしまう。50年以上経った現在でも、こうしてWolfgangに嫌らしい書き方をされることになってしまった(苦笑)。

だが少し考えればWolfgangの知能程度でも分かるはずだが、これはアリバイと呼べるシロモノではない。もし石川氏が真犯人なら絶対つくはずのないウソなのだ。
善枝さんが殺害されたのは、最後に目撃されたという午後3時50分頃から(判決文で農道に埋めたとされる)9時頃の間なのは間違いないだろう。

それは真犯人が一番よく知っていることだ。アリバイ工作なら、その時間帯こそ別の行動をでっち上げて埋めなければ、何の意味もない。

ところがWolfgang自身が引用している、このときのニセアリバイはこんなものだ。

本年五月一日は兄ちゃんの六造と二人で午前八時頃に(中略)仕事に行って午後四時頃までやっていたのです
午後四時頃に仕事も終ったし、(中略)それから私は一人で家に帰って家で遊んでいたのです

こんな、犯行時間帯のアリバイがスッポリ抜け落ちたウソで、追求を逃れられると思う真犯人がどこにいるのか。

石川氏は犯行の行なわれた時間帯を知らなかった。石川氏が真犯人なら、あり得ないことである。

>「〜これぐらいの大きさの煎餅とアンパンをごちそうになった」などと、食べてもいない煎餅やアンパンの大きさまで具体的に説明していました。

そんなのオレだって、いくらでも想像して説明できるぞ(笑)。



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