■宮崎勤が描いた絵

FOCUS 96年7月31日号より

宮崎が拘置所内で描いた絵(以下3点、同)。やはり宮崎関連のサイトであれば、これらの絵を載せないと据わりが悪いだろう。

丘が連なり、道路が描かれているが、なぜかその端はカーペットのように切れている。空中で裸の人物がヨガのようなポーズをとっており、表情は不気味この上ない。

精神病理学者の小田晋教授によれば(彼の発言は時々アレではあるが)、この人物は宮崎から見た「薄気味悪い、恐ろしい大人の女」とのこと。




同誌より

宇宙服を着て、月面上?で何やら作業をする人物。右下は宇宙船か。



同誌より

オリジナルデザインのロボットだろうか。ガードレールの向こうには人だかりが見える。看板の文字らしきものは「KK」か。
不思議な、白日夢のようなムードがある絵だ。



同誌より

リハビリトレーニングをしてるのだろうか、男が竹馬のようなものに乗っている。後ろの、顔のない看護婦?が実に不気味だ。二人ともなぜか足先は描かれていない。

何の目的があってこれらの絵を描いたのか全く不明である。上の4点の絵は精神鑑定の資料として、内沼、関根鑑定書に掲載された。






(下段1コマめ)

「生命体{エクトプラズム}(人魂{ひとだま})だ。!!」

「そうか、妖怪とはこの世に怨念を残し、今だ成仏できない魂の集まりだったのか。‥‥つまり妖怪とは
「怨念」が暗やみと言う鏡に写し出された特別な心なんだ‥‥。」
(下段2コマめ)

「怨念、
それが人間の心であるからこそ私たちの心に妖怪として とらえられるのだ。
‥‥怨念
‥よく考えてみれば人間だれもが心の奥底に秘められているものじゃないか‥ただそれに気づかぬものだから
それを恐れるのだ。!」
滝野 隆浩著「宮崎勤 精神鑑定書―多重人格説の検証」改訂版(2000/講談社)より


フキダシの字は少々読みづらいので書き起こした。

宮崎の自作マンガの一部。いつ頃描かれたものかは不明。本人も好きらしく、キャラのデザインが何となく石ノ森章太郎チックだ。




宮崎勤著「夢のなか」(創出版/1998)より

宮崎が公判の最中に描いたという落書き。常に左手で頬杖をつき、熱心にメモを取っているかのように見えて、こうした落書きやパズルを描いていたそうである。

彼のいう「甘い世界」なのか、特撮の怪獣やロボットらしきものがビッチリ描き込まれている。どなたかが書いていたが「必死に目の前の現実から逃避」したかったのだろう。



宮崎勤著「夢のなか」(創出版/1998)より

かの有名な〈ネズミ人間〉。月刊誌「創」編集長のリクエストで描いたようだが、あまりやる気を感じさせない絵だ。

97年に一審で死刑判決が出た際、ワイドショーは再び宮崎ネタで賑わった。中にはわざわざこのネズミ人間の着ぐるみを作り、「幼女がネズミ人間に襲われる」場面の再現ドラマを放送した局もあった。5,6人のネズミ人間が宮崎の車を取り囲み、窓をバンバン叩くシーンなど、なかなかのホラーな映像であった。



宮崎勤著「夢のなか いまも」(創出版/2006)より

引用して良いものか、非常に悩んだ絵である。

一審ではあいまいだった幼女の殺害状況の証言が、二審ではより具体的に、生々しく語られるようになった。幼女がぐずり始め、泣き出してパニックになった宮崎は、その「迫害のような、おっかない顔をした」幼女の「心臓辺り」を蹴っ飛ばし、それから馬乗りになって首を絞めて殺したという。
この絵が所収された「夢のなか いまも」には、主に控訴審の頃の発言が収められている。前著ではまだどことなく控えめな印象があったが、この本ではむしろ、100パーセント身の安全を保証された拘置所の中から、世間に向かって毒を吐くことを楽しんでいる感すら受ける。

いいかげん書くのも嫌になってしまうが、事件から10年以上を経て、こんな絵を描いて自分の殺害の状況を解説する男が冤罪などということがあり得るのか。お答え頂きたいものである。

それとも「幼女を殺したのは“もう一人の自分”なのだから、宮崎は犯人ではない」とでも言うつもりなのだろうか。



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